約 2,427,395 件
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/526.html
2月14日の武装神姫-02 ・・・2月14日の武装神姫-01の続き・・・ 「このくらいかにゃ? ・・・それじゃ、次〜。」 一個目、無事流し込み完了。2個目、3個目・・・一度上手くいけば、あと はラクチン・・・すんなりと完了。・・・チョコが余ったので、一旦ボウル を湯煎の上へ戻し、先の分に、3人であれやこれやと飾りを着けて、文字を 書いて。 ワイワイやっているところへ、ようやくイオが起きてきた。 「あー!! おそーい!!」 エルガが声をあげた。 「あ・・・すっかり忘れていました・・・今日は14日でしたね。。。」 まだ眠そうにあくびをするイオ。 「忘れていましたって・・・。 まぁいいや。 今年は一人一個作るから、 イオも作ること。」 リゼが言うと、目をこすりながらリゼはボウルの方へ。 「はーい。それで、チョコレートはどちらに? あら、美味しそうな香り。」 まだ寝ぼけているのであろうか、フラフラ〜と、足下も怪しいまま・・・ どべちゃっ!! 「いやーーーーーー!!! あ、熱い、熱いぃぃぃっ!!!」 見事・・・というかお約束というか、よりによって湯煎の湯の方ではなく、 チョコレートの方へ転落したリゼ。 「な、何やっているんですかっ!!!」 慌ててシンメイが駆け寄る。 エルガがすでに飛び上がり、ワイヤーを引き ボウルを持ち上げている。 ひとまず(もったいないとのリゼの一言で)、 イオの分の型の上へイオ入りのチョコレートを流す・・・と。 「あ・・・。」 受け側でボウルを動かしていたリゼが絶句。型に流すまでの間が仇となった のだろうか、出した途端にリゼごとチョコは固まってしまった。 「あ、あの・・・ 固まってしまいました・・・。」 「見れば解る。」 「そ、そんなぁ〜! リゼ、冷たいこと言わないで、何とかしてっ!」 「何とか、ねぇ・・・。 寝坊して、残りのチョコレート使い果たすはめに なった原因を作ったヤツが言うことか?」 「ちょっとリゼ。そこまで言うことはないでしょ?」 と肩を叩くシンメイに、リゼは無言で、後に座り込むエルガを示した。 「イオが悪いわけじゃないけれどね・・・ にゃんか納得行かない・・・。 せっかくみんなで、一個ずつ渡そうと思ったのに・・・。」 大きな目に大粒の涙をためてぐずるエルガ。 「・・・。」 さすがのシンメイも、どう声をかけたら良いか解らない様子。 文字通りに 固まったままのイオも、(おそらく)申し訳なさそう目をしている。 「ん? むむ・・・ あぁ、いい方法があるぞ。」 固まったイオを見ていたリゼがポンと手を叩いた。 「ぬっふっふ・・・」 小悪魔のようなにやりとした笑み。 エルガ、シンメイもちょっとゾクッと 走ったモノがあった。 そして。。。 「ただいまー。 いやぁ、今日は久々の定時上がりだよ。」 まだ早い時間に久遠帰宅。 きれいに片付けられたキッチンに・・・何やら 見慣れないハコが4つ。 「おかえりなさーい!」 と、エルガ、シンメイ、リゼがぴょっこり顔をだした。 「あのね、今日は伴天連隊員の日だか・・・ぶにゃっ」 豪快にシンメイがエルガをどつく。 「もう・・・バレンタインでしょっ!」 「っつーことだ、ヌシさん。 あたしたちも作ったよ。」 片目をつむって、イオがハコを差し出した。 続いて、エルガとシンメイも。 聞けば、皆でちっちゃい身体を駆使し、一人一個、人数分作り上げ、なんと 片付けまでも済んでいるというではないか。 「あんたら、ようやるねぇ・・・ いやー、こりゃ嬉しいよ!さっそく開け させてもらうよっ!!」 満面の笑みで久遠は包みを開ける。 ・・・エルガのチョコはでっかい肉球。 リゼのチョコにはLOVEとでかでかと書いてある。 シンメイのチョコは・・・ アーモンドがちょこんとひとつだけ。 でも、よく見ると・・・濃淡で見事 なハートが描かれ、隅には小さく「愛は最強」・・・って何が言いたいんだ? ・・・とここで久遠が気づいた。 「そういえば、イオ・・・は?」 「あ、あの娘なら疲れて先に寝ちゃったよ。」 リゼが答える。 「こんな早い時間からか?」 「ま、まぁね。 それはそうと、これ。イオの分のチョコレート。」 「をを、何やら豪華そうな大きさだ!」 3人とは違い、高さもあるハコ。 開けてみると・・・そこには、イオその ままの姿のチョコレートが! 「こりゃぁすごい! 時間かかっただろう・・・。」 「チョコを彫って作ったそうですよ。」 何か言いたげなエルガの口を塞いで、シンメイが言った。 「そうかそうか・・・。嬉しいねぇ、こんな立派なモノをもらえるなんて。」 そう言いながら久遠はひとしきり写真を撮り(銀塩)、フィルムを1本使い 切ったところで、まずはイオのチョコレートに手を伸ばした。 「ありがたく頂くよ。 今日の夕食はこれで決まりだなっ!」 嬉しそうに、満面の笑みを浮かべた久遠。 イオのチョコレートの台座部分 をまずは食し、足から食べようとして、一口かじった・・・ その瞬間。 「ぎゃーーーーーーーーーーっっっ!!!!!」 今まで、誰も聞いたことがないほどの悲鳴。 そう、イオ型のチョコは、中身がイオのチョコだったのだ。 何も知らない (当然だけど)久遠は、容赦なく、思いっきりイオの足にかじりついた形に なったのだ。 あまりの痛さに、大暴れするイオ。 剥がれ落ちるチョコ。 さらに、片足を久遠にくわえられたまま、久遠の顔面に猛烈な殴る・蹴るの 暴行を加えている。 そして。 ・・・ぽとり。 イオが久遠の口から落ちた。久遠の顔面は真っ赤に腫れ 上っていた。その一連の様子を見ながらリゼは笑いこけ、シンメイとエルガ は口を開けたまま、どうして良いのか手も出せずに・・・ただ見ているしか できなかった。 その夜。 仕組んだリゼは、顔を氷で冷やす久遠にこってりとしぼられ、イオはチョコ まみれであったため、失神するまで洗浄された。エルガとシンメイは、その 間どうにも気まずく、2人とも部屋の隅で並んで反省モード。 さらには、 その話が何故か翌日にはCTaの所へ漏れ、輪をかけて大騒ぎに。結局、全て が笑い話になるまで、数ヶ月を要することになった。 そんなこんなで、去年の2月14日はとんでもない騒ぎになってしまった久遠。 「・・・今年はチョコレートらしきモノは全部探して没収したから、大丈夫 だと思うんだけどなぁ・・・。」 ぼそりつぶやく。手には、皆で食べようと思い買った、値引きされたチョコ レートケーキ。 しかし、不安の中に、ちょっと期待があるのもまた事実。 (あんなに嬉しい2月14日ははじめてだったっけ。。。) しだいに足が速くなる。 ・・・自宅はもうすぐ・・・ そう、今日は2月14日。 大切な貴方へ、こころを伝える日-。 <トップ へ戻る<
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/1016.html
武装神姫飛鳥ちゃんエウクランて 登場神姫 飛鳥(エウクランテ型) 本編の主人公 起動直後は「武装神姫は戦う為の存在。勝つためには心なんて不確実な物は不要」と思っていたが、美孤の愛情に触れ考えを180°改める 亜矢華から美孤の事を頼まれ責任を感じている (ちなみに亜矢華から受け取ったツールは、本来BMAから美孤に「処方」された物) 美孤(マオチャオ型) 飛鳥にお姉様と慕われる神姫 実際、柏家の神姫では一番の年長で長女と言える存在 明るく元気だけが取り柄のようで、意外と気配り屋さん こう見えて実はファーストランカー(上がったばかりであるが) フブキ、マオチャオ、アーンヴァルの武装を組み合わせた装備をメインにしてる (全てチューンナップされている) ちなみに、紫蘭には隠しポケットが付いており、この中にヴズルイフ2丁とアーマーシュナイダー2本が隠されていて、高回避型を相手にするときはギガンテスをウイングにマウントしてハンドガンとナイフで戦う 「マッドネスキャット(狂気の猫)」と呼ばれ、一部では恐れられている 実は『神姫性性同一障害』という厄介な症状に冒されている エアル(アーンヴァル型) 柏家の次女神姫 一応セカンドランカーなのだが、戦うよりも機械いじりが好き そしてなにより可愛い服が好き シミュレーターの操作をする等、裏方に回って姉妹を支援する 小鉄(ハウリン型) 耕介の友人、祐太朗の神姫 セカンド上位なのだが、なぜか美孤と対戦での相性が悪く、勝てない日々が続いている それを晴らそうと会うたびに対戦を挑むが、それがポイントを落としている原因となっている クロテン(アーンヴァル型ブラックヴァージョン) 耕介の友人、祐太朗の神姫 あまりといえばあまりなネーミングだが、祐太朗もクロテン本人も可愛いと気に入っている 飛鳥とほぼ同時期に起動している その実力は…? 亜矢華(あやか・ジルダリア型) 一太郎の神姫 バトルには参加しないが、実力はカナリある、との噂 通常、ジルダリア型はそのせくしぃな容姿から服を着ている事が多いのだが、亜矢華は服を着ず、下着姿で店内をウロウロしている 前の髪飾り2個を通常の物に偽装した「あなたも狼に変わりますか」と交換している 実はBMA公認の神姫心理カウンセラーだったりする 結構えっちだが、あくまでレズっ気であり『神姫性性同一障害』では無い 宝華(ほうか・フォートブラッグ型) 一太郎の神姫 一太郎の助手として頑張っている神姫 よく亜矢華にいぢめられる(性的な意味で) 相当えっちだが、あくまでレズっ気であり『神姫性性同一障害』では無い 魔土華(まどか・ジュビジー型) BF三姉妹と呼ばれているが、実は一太郎の妻である千奈乃の神姫 よく一太郎の仕事を手伝ったりしている良く出来た神姫 でも亜矢華と共に宝華を(性的な意味で)いぢめたりしてる 割とえっちだが、あくまでレズっ気であり『神姫性性同一障害』では無い 登場人物 柏 耕介(かしわ・こうすけ) 美孤・エアル・飛鳥のマスター。顔は並(飛鳥談) ごく普通のサラリーマン。家は若干裕福な方 両親と三人で暮らしていたが、急に「海外で暮らす、あとはまかせた」といって両親が海外へ移住(戸籍は日本のまま)してしまった為、広い家に一人で暮らす事になった 実は神姫ちゃん~の香田瀬の大学の先輩であった メカ部に所属していたが機械いじりは得意ではなく、操作の腕を買われての在籍であった 柳家 祐太朗(やなぎや・ゆうたろう) 小鉄・クロテンのマスター。メガネを掛けている。顔は良いようだ(飛鳥基準) 耕介の幼なじみだが、大手商社に勤めていて耕介よりも収入が良い が、並の賃貸アパートに一人で暮らしている 今井 一太郎(いまい・いちたろう) ワークショップ『MACHINE FRIEND』のオーナー 大学時代、弱小だったメカ部を全国区レベルまで上げた伝説の人 その為、OBとしてちょくちょく顔を出していた為に香田瀬と面識があったりする (余談だが、香田瀬が入った頃には弱小部に戻ってしまっていたが、香田瀬の活躍でメカコンテストで優勝するまでになった。この時、メカを操作していたのが耕介だった) 彼の祖父はかつて大企業グループの下請けとしてメカ工場を経営していたが、突然のグループ解体により工場を閉鎖せざるを得なくなってしまった 父は現在、大企業の技師として働いているが、祖父の話を聞いて育った一太郎は『マシンフレンド』を現在に復活させた 今井 千奈乃(いまい・ちなの)※現在未登場 一太郎の妻 仕事には一切口出しをしないので、今後も出番が危ぶまれている
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/1048.html
{武装神姫についてと俺について} あの事件(俺の後頭部が机に炸裂)から一週間が経った。 アンジェラス、クリナーレ、ルーナ、パルカは色々な事をはじめた。 アンジェラスとパルカは料理や掃除がやりたいと言い、俺は武装神姫用の包丁や掃除機とかを作り渡した。 クリナーレは何か運動するものが欲しいと言い、俺は武装神姫用のダンベルとか作り渡した。 ルーナはパソコンがやりたいと言い、俺のパソコンを貸した。 まぁ、人それぞれに趣味があるのは当然な事。 だから俺は、こいつ等が何が欲しいとか何が必要とか言われれば作ったり準備してやった。 とても良い事だと思う。 だが、やる分には構わないが余計な事はしないで欲しかった。 アンジェラスとパルカは料理にしろ掃除にしろ全然使い方が酷かったために台所は地獄と化し滅茶苦茶になるし、クリナーレはダンベルをグルグルと回し俺が『危ないぞ』と言った瞬間にクリナーレがダンベルを持った手がすっぽ抜け俺の顔に命中するし、ルーナは俺のパソコンに入ってる秘蔵のコレクション(主にエロゲーとか…)をやろうとするし。 もう酷いの一言しか出ない。 そんな感じに生活してい訳だ。 俺はというと武装神姫について調べていた。 武装神姫とはなんぞや。 まぁ、この一週間で大抵解った。 自分の武装神姫を他の神姫と戦わせたりトレーニングをやらせて育てる。 ゲーム風で言えば育成シュミレーション。 悪く言えば娯楽のための人形遊びだ。 しかもこの武装神姫は結構奥が深く、色々とヤバイ噂もある。 表の世界は武装神姫を普通に育てる。 なら裏の世界はどうなのだろうか。 実は裏の世界は現実的に酷いものばかりだった。 市販されてる武器を改造したりオリジナルの武器を作って、その武器を使って神姫達に闘わせ、どちらかが破壊されるまでやらせるデスマッチ。 軍事利用で暗殺型用とかスパイ型用に武装神姫を作ったり。 人間で言うドーピング…神姫用のドーピングを使って身体的と能力的に強くさせたり。 後はそうだな…愛玩用にする。 簡単に言えばダッチワイフだな。 そりゃあ人間の女の形をしてるんだもん。 作りたい気持ちは解るが、俺にとっちゃそんなのただの外道としか認識できない。 そんなにやりたければ性風俗店に行けばいいのに。 とまぁ、一応代表的なものを上げた。 そんな奴等を俺はアンダーグランドの住人と思っている。 表があれば裏がある。 世の中よく出来てるぜ。 けど、俺はどちらかと言うとアンダーグランドの方の人間だな。 勿論、アンジェラス達にそんな下らない世界の武装神姫には絶対させない。 こいつらを預かってる姉貴にも迷惑がかかるしな。 まず第一に俺のプライドが許せない。 「ねぇねぇ、アニキー」 そう無垢なる彼女達を守らなければ。 「アニキってばー」 俺はそう心に誓ったのだ。 「シカトするなー!」 ギューーーー! 「イッテー!?」 クリナーレが俺の髪の毛を引っ張る。 結構、痛いです。 「ボクの事をシカトするなよ!」 「…イテテテ。あぁ~悪かったな。で、何か用か?」 引っ張られた髪の毛を摩りながらクリナーレの用を聞いた。 するとクリナーレは一丁の銃を取り出した。 その銃は名は『モデルPHCハンドガン・ヴズルイフ』という武装神姫用銃である。 神姫ショップで一般的に売ってる銃。 だが、クリナーレが持っている『モデルPHCハンドガン・ヴズルイフ』はちょっと違う。 何故なら…俺が見よう物真似で作った銃なのだから。 「ゲッ!?クリナーレ、その銃を何処で見つけた」 「え~と、隣の部屋の机に大事そうに飾られてたから、そこからちょっと借りただけだよ」 「まだ使ってないだろうな!」 「う、うん。もしかして怒った?」 クリナーレは申し訳なさそうな顔をした。 「いや、怒ってはいないよ。他の皆はその武器や他の武器の事知ってるのか?」 「今の所、ボクだけだと思う」 「そうか。よかったぁー」 「よかった?」 「あ、こっちの事だ。ちょっと皆に話す事が出来たな。クリナーレ、皆を呼んで来てくれ。それと銃は没収だ」 「えー、今はこの銃でトレーニングしたいのにー」 「話が終わったら嫌になる程使わせてやる。だから皆を呼べ」 「約束だよー」 不満そうにクリナーレは俺の左手の手のひらに乗り、俺は地面に左手を置くとクリナーレはアンジェラス達を呼びに行った。 もう見つかってしまったらしい。 あの銃には色々とやっかい事があるというのに。 いや、あの銃に限らず他の武器も色々とヤバイ。 これで今まで黙ってきた事がバレる。 でもまぁ、何時かバレる日はくる。 なら日が浅いうちに言っとくべきかもしれない。 「みんなを呼んで来たよー」 クリナーレが戻って来てその後ろにはアンジェラス、ルーナ、パルカの順に来てくれた。 「何か御用ですか?」 「遊んでくれるの?」 「まさか、私達をリセットするんじゃ…」 「まぁ用事といえば用事かな。それとパルカ。リセットなんかする訳ねーだろうが」 ホッとするパルカ。 まったく、何処まで怯えてるんだ? そんなに俺が怖いのか? もしそうならちょっとショックだな。 て、今はそれよりも。 「それじゃみんな。俺の肩に二人ずつ左右に乗っかってくれ。地下に案内するからさぁ」 「へぇー、地下なんかあったんだこの家。ボク知らなかったなぁ」 「地下でエロい事するつもりですね」 「んな訳ねーよ。それともルーナだけ放置プレイしてやろうか?」 「放置は嫌ですぅ~」 ルーナはルーナで何だかエロ方面の方向に話そうとするし。 ちょっと、ムラムラとくる言葉に誘惑される俺だが理性が強い俺はそう簡単に落ちないぜ。 俺は中腰をして机と同じぐらいに肩の高さ合わせる。 トコトコ、と俺の方に移動するアンジェラス、クリナーレ、ルーナ、パルカ。 右肩にクリナーレ、パルカ。 左肩にアンジェラス、ルーナ。 みんなが肩に移動し終わると俺は地下に向かった。 …。 ……。 ………。 「ここがそうだ」 パチ、と電気を入れ部屋が明るくなる。 とても大きな部屋で壁は無機質なコンクリートで覆われ、机が二つと色々な道具が置かれている。 なんとも味気の無い部屋。 肩に乗せてるアンジェラス達を机に下ろし、クリナーレだけ右手の手のひらに乗っける。 アンジェラス達は『なんでクリナーレだけ』と不思議そうに思った。 俺はすぐその場に厚さ10ミリのドアぐらいの大きさの鉄板が置かれてる場所まで行き。 「こいつを撃つんだ」 クリナーレに命令した。 命令した後、鉄板から7,8メートル離れてから先程クリナーレから取り上げた『モデルPHCハンドガン・ヴズルイフ』を渡す。 クリナーレは俺から渡された銃を構える。 とても綺麗な構え方だ。 やはりそのようにプログラムされているのだろうか? いやいや、その考えは止めとこう。 俺は彼女達を人間同様に扱うと決めたばかりじゃねーか! 左手をクリナーレの背中に触れるギリギリでとめとく。 この行為が無駄になれば嬉しいのだが…。 「せい!」 バキューン! 「うわぁ!?」 「クゥッ!」 撃った衝撃でクリナーレが後ろに吹き飛ばされて、俺が予め用意していた左手でクリナーレを掴み助け、すぐさま右手でクリナーレ覆う。 だが助けた俺の身体はクリナーレが撃った衝撃を全て受けたためバランスを崩し尻餅をついてから倒れた。 「ご主人様!?」 「ダーリン!?」 「お兄ちゃん!?」 机の上で叫び心配する三人。 「安心しろ、大丈夫だ」 俺は上半身だけ起こし、閉じた両手を開いてみる。 どうやらクリナーレは無事みたいだ。 けど自分を両手で抱くように縮こまって小刻みに身体を震わせている。 いったいどうしんだ? 「クリナーレ、大丈夫か?」 「…あ、あっ…アニ…キ…」 涙目になっているクリナーレ。 どうやら銃を撃った反動で恐怖を感じたみたいだ。 無理もない。 市販で売ってる銃はあんな反動は無いからなぁ。 やっぱり撃たせるんじゃなかった。 クリナーレを怖らがせてしまったのだから。 「大丈夫。もう大丈夫だ」 「アニキ…ボクは…」 「何も言うな、怖かったんだろう。なら今は甘えていいんだ」 「アニキー!」 クリナーレが俺の胸元の服を両手で掴んで泣く。 「怖らがせてゴメンな」 俺は謝る事しか出来ない。 所詮その程度の人間。 「ご主人様、大丈夫ですか?」 「ホッ。案外大丈夫そうね。心配したんだからねー」 「よかったですー!姉さんもお兄ちゃんも無事で!!」 「お前等…」 アンジェラス、ルーナ、パルカが俺の左太もも辺りで心配そうにしていた。 あの高い机からどうやって飛び降りたのだろう。 まぁ今はいいや。 こいつ等も安心させないとな。 「俺は大丈夫。ただクリナーレが怯えちゃったかな。ワリィ事しちまったぜ」 「いえ、ご主人様は悪くないですよ」 アンジェラスが俺を慰めてくれる。 何故、こいつは俺の事をここまで気にかけてくれるのだろうか? まるでアンジェラスだけが特別な神姫みたいに感じる。 「サンキューなアンジェラス。みんな、あれを見てくれ」 顔で合図をし、鉄板が置かれてる場所を見てもらう。 アンジェラス、ルーナ、パルカは鉄板が置かれた場所を見る。 「そ、そんな…」 「…うわ~」 「…酷い」 三人はそれぞれ別の驚愕を示した。 三人が見た物は、鉄板が二つに別れ真ん中の部分は粉々に吹き飛んでいた光景だ。 たった一発の弾丸で頑丈な鉄板が半壊の粉々。 とんでもない威力だ。 「あの銃は俺が作ったんだ」 「そんな!だって、あれはどうみても」 「市販されてる『モデルPHCハンドガン・ヴズルイフ』の銃って言いたいんだろ、アンジェラス」 「そ、そうですけど」 「あの銃は見ようもの真似で作った物だ。…姉貴が武装神姫関係の会社で働いてるのを知っているよな」 無言で頷くアンジェラス。 目は真剣そのものだ。 「俺は何か物を作るのが好きなんだ。まぁ趣味みたいなものだな。それで姉貴の会社に行き、武装神姫関係の武装や装備のデータをパクッて、それをベースにして俺が作ったオリジナルの武器が出来上がる訳よ」 「ご主人様…もしかしてご主人様は…」 「そう、俺は違法な武器を作っちまった。他にも色々と悪い事を沢山やってきた…犯罪者という訳になるかな」 アンジェラス、ルーナ、パルカは沈黙した。 まさか自分のオーナーが武装神姫の違反者だとは思わなかったのだから。 しばし無機質な部屋の沈黙が訪れた。 だがその沈黙はすぐに消えた。 「そんなの…関係ないよ」 声の主はクリナーレだった。 泣いたせいか目が充血していた。 「アニキは酷い奴じゃないよ!実際こうしてボクの事を守ってくれたあげく、心配までしてくれるんだから!!」 「クリナーレ、お前…」 「アニキ!ボク達は例えアニキが悪い事をしていても大丈夫!!ねぇみんな!!!」 必死で俺を庇うクリナーレ。 嬉しかった。 ここまで他人のために言ってくれる奴は簡単にいない。 「クリナーレ、大丈夫よ。私達が、ご主人様を軽蔑するわけないじゃない」 「そうよ。この一週間一緒に暮らしたけど、とても悪人面に見えないしダーリンはとても恥ずかしやがりさんなんだから」 「姉さん、私はお兄ちゃんに色々な事を教えてもらいました。私に教える時のお兄ちゃんは笑顔で言ってくれます。そんなお兄ちゃんが悪人には見えません!」 今度はアンジェラス達が言ってくれた。 まったく、どうしてこいつ等はこうも馬鹿なんだろうか? 犯罪者が悪人に見えない。 馬鹿じゃん。 本当、お人よし過ぎる馬鹿者だ…こいつ等は。 嬉しくて涙がチョチョギレルわい。 「ほんと、お前等ていうやつは…」 こいつ等といると俺の心はなんだかとても軽くなる。 今までやってきたった行いは殆ど悪い事が多い。 それも生きる為という肩書きという理由で…。 まぁ色々悪行三昧してきた訳よ。 なら今から俺がやってきた罪はどうやって償うべきか…。 罪は後で考えるか、今はこいつ等のめんどうみる事が最優先だ。 「よし!気を取り直すついでに飯でも喰うかぁー!!」 ガバッとアンジェラス達を両手で掬い上げ俺の胸に抱き寄せる。 少し恥ずかしいけど俺はアンジェラス達にニコヤカに笑って見せた。 「ご主人様!」 「アニキ!」 「ダーリン!」 「お兄ちゃん!」 「今日は俺の手作りの飯だ。心して喰えよ!」 「やったー、アニキの手作りの料理美味いだよなー」 「嬉しいです、ご主人様」 「あらあら、生活費がヤバイのにそんな大盤振る舞いしていいんですか?」 「ルーナさん、お兄ちゃんの事ですから大丈夫ですよ」 ワキャワキャっと喋りにながら一階に向かう。 これからはこの大切で大事なひと時を俺は守っていこうと思った。 今日の出来事で今までの俺にさようならし、俺は新しくなった。 さぁー、俺の新たな生活の始まりだ!
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/249.html
せつなの武装神姫 主な登場人物 ――人物―― 藤原 雪那(ふじわら せつな) 「僕とティキ」の主人公『僕』にして「雪那とティキと」の主人公その一。 進学校(一応)に通う高校二年の眼鏡学生。 ティキとユーラのオーナー。 根本はオタク気質なのだが、その手の知識を多く持ち合わせていない。理由は祖父、亡父が極度のオタク体質なため、そんな大人になりたくないと自己を抑えていた為。今はそんな自己抑圧から解放されている。 そのくせに西洋剣の事に妙に詳しかったりと謎も多い。 神姫オーナーである事は学校では秘密。だったがバレた。 一年の学年末のゴタゴタで部活はやめたらしい。 式部 敦詞(しきぶ あつし) 雪那と同じ学校に通う、弓道部所属の高校二年生。二年になり雪那と同じクラスになった。 きらりのオーナー。 気遣いの出来るし、ルックスも悪くはない。というより格好良い。が性格はアレ。 ひた隠ししているが、自分がオタクである事には自覚的。だからこそ気が使える人。 未だ神姫オーナーである事は学校では知られていない。 ちなみに雪那が読んでいる「妖精騎士」シリーズはこいつが貸し出した。 司馬 仙太郎(しば せんたろう) 大学生。式部の友人。 ナイアのオーナー。 リーグ戦もこなすが、熱中しているのはジオラマを使ったゲーム。 とある二流大学でボードゲーム愛好会の会長を務めていたが神姫にハマり、愛好会は神姫愛好会の相を挺しているとかいないとか。 ちなみにボードゲーム愛好会は同学内のミリタリー研究会とは犬猿の仲である。 結城 セツナ(ゆうき ――) 「Y.E.N.N」主人公にして「雪那とティキと」の主人公その二。 某私立女子高に通う高校三年生。眼鏡の美しい少女。 焔と朔のオーナー。 前に所有していた神姫「海神」をとある事件で失う。 その事件をきっかけに神姫との関係を新たに模索し始め、現在に至る。神姫との関係は良好の様子。 感情を表情から窺い知る事が難しいとは雪那の弁だが、割と感情の動きは激しい。 式部、司馬とは旧知らしいが、詳細不明。 過去に木井津沙紘と交際していたらしい。 藤原 修芳(ふじわら あつよし) 藤原雪那の父。 数ヶ月前の雨の日に交通事故に巻き込まれ死亡。 ティキの初代オーナー。ティキに「旦那さん」とオーナー呼称登録した。 藤原 舞華(ふじわら まいか) 藤原雪那の母。 在宅の仕事をしている、とティキは言っている。 自宅を兼ねた店舗を開いている。 店の名は「妖精館」。ドールハウス用の小物をメインに取り扱う店でありながら喫茶店も兼ねるというおかしな店である。 葉月 総(はづき そう) 藤原雪那の祖父。 小説家、桜田柄今(さくらだ つかいま)。 四体の神姫を保有している。 木井津 沙紘(きいつ さひろ) 結城セツナのモトカレ。現在大学生。 シンナバーのオーナー。 多分性格はよろしくない。 朔良=イゴール(さくら・―) 結城セツナのクラスメートにて数少ない友人の一人。 「なつのとびら」の主人公。 ハーフの少女。赤毛の碧眼。そばかすが気になるお年頃。 桜田柄今の大ファン。 武装神姫を所有していない。 左右葉 夢絃(そうば・むげん) 朔良=イゴールが南房総にある町でであった青年。二十歳前後。 刹奈曰く「顔ばっかりで愛嬌も無いヘタレな人」。 故人。 ここまで無理繰りな名前だといっそ清々しいよね。 露草 流音(つゆくさ・るね) 左右葉夢絃の双子の妹。 刹奈のオーナーで、夢絃に刹奈を預けた。 朔良曰く「同い年くらいに見える」 夢絃と姓が違うのは両親が離婚したとき別々に引き取られたため。 ――神姫―― ティキ 藤原雪那の神姫。 TYPE猫爪。元々は雪那の亡父の神姫だった。 雪那の亡父の事を「旦那さん」、雪那の事を「マスタ」と呼ぶ。ちなみに「マスタ」とは「マスター」と言われるのが恥ずかしかった雪那が苦肉の策で決めたもの。 この娘のチョット偏った知識は「旦那さん」の影響。 戦闘スタイルは万能型(つまり中途半端)。特殊装備、『M.D.U.シルヴェストル』を装備して戦う。 現在セカンドランカー ユーラ 藤原雪那の二体目の神姫。 リペイント版の黒いアーンヴァル。 雪那の事を「主(ぬし)さん」と呼ぶ。「主さん」とは雪那の家に遊びに来ていた式部敦詞が決めた呼称。本当は「ご主人様」という案だったが、雪那が却下した。 語尾を繰り返す癖があり、慣れていないと聞いていて鬱陶しい。 現在バトル未経験。 きらり 式部敦詞の神姫。 式部を「マスター」と呼ぶ。 先行特別限定発売されたツガルで、素体も付いて来た。それが特別発売のゆえん。 装備はそのままツガルの標準装備風の物を使用。但しそのままなのは外見だけ。 戦闘スタイルは遠距離射撃型。ツガル特有の高機動力を活かす戦闘スタイルを模索中。 セカンドランカーにランクアップできました。 ナイア 司馬仙太郎の神姫。 アーンヴァルの素体にストラーフのコアをつけた神姫。仙太郎曰く、「オレは青い髪に白いボディースーツの組み合わせに弱いんだよ」だそうである。 名前の由来は「這い寄る混沌」から。 基本装備はサイフォスの物をそのまま流用。 某所のヴァッフェバニーが大鑑巨砲主義なら、こちらは近接戦闘絶対主義。目指すは一騎当千でなんたら無双。 それでも一応セカンドランカー。 海神(わだつみ) 結城セツナの神姫。 珍しい、忍者型フブキの神姫。表情の変化には乏しいが、それだからといって感情の起伏に乏しいわけではない。 忍者刀・風花、大手裏剣・白詰草、黒き翼にヴァッフェバニーの装備の一部で武装している。 とある事件に巻き込まれ破壊された。 海神ⅡY.E.N.N(わだつみ・せかんど・わい・いー・えぬ・えぬ) 通称・焔(えん)。結城セツナの二体目の神姫。セツナを「ご主人」と呼ぶ。 ハウリンのヘッド、紅緒のボディー、そして『海神』のCSCで構成されている。 現在の基本装備は『緋紅』と名付けられた蘇芳之胴などを改造した鎧と背部ユニットと、斬姫刀“多々良・鉄”(ざんきとう・たたら“くろがね”)。 『緋紅』には大型銃器が備え付けられているが、あまりにエネルギーを使いすぎるため一試合につき一回しか使用できない(『緋紅』の特殊スキル扱い)。 セカンドランカー。 朔 結城セツナの三体目の神姫(保有数は二)。 白いストラーフ。 セツナを「せっちゃん」と呼ぶ。 結城セツナが朔良=イゴールから譲り受けた神姫。 現在バトル未経験。 シンナバー 木井津沙紘の神姫。 ヴァッフェバニー。ヴァッフェバニーの基本装備とテグスを用いて戦う。 雪那達のいる地域では実は結構有名。雪那が知らなかったのは彼がそういうことに疎いから。 現在セカンドランカー上位。 ヒワ 葉月総の神姫。 葉月を「先生」と呼ぶ。 和服姿のアーンヴァル。 アトリ 葉月総の神姫。 某ホテルの制服と同じデザインの制服を着ている。 ストラーフ。 刹奈 露草流音の神姫。 左右葉夢絃に預けられていた。 流音の事を「マスター」と呼び、夢絃の事をそのまま名前で「夢絃」と呼ぶ。 朔良が神姫の事に疎いので、TYPEもランクも不明。 可憐な仕草とそれに似つかわしくない口調が特徴。 戻る
https://w.atwiki.jp/special987/pages/19.html
FPSをしていると一度は使ってみたくなるスナイパーライフル。最初はとても当てにくいですが操作に慣れてくるにつれてARでは出来ない立ち回りが可能になり戦略の幅が広がります。 現在スペシャルフォースには4つのスナがあります。 名称 head body arm reg リロード 価格 PSG-1 100 100 60 50 ③ 20000 FR-F2 100 100 60 50 ① 33000 DORAGUNOV 100 100 69 57 ④ 55000 AWP 100 100 75 62 ① 60000 ほとんどのスナを使っている人はPSG派かFR派に分かれてきます。特にPSG派が多いです。 理由としてこの二つは癖がなく使いやすいことと、価格が安いことでしょう。 二つとも序盤に購入できるのでサブIDを作ってどちらが自分に合うかを試してみるといいでしょう。 しかし、DORAGUNOVやAWPが一番自分に合うという人もいます。実際DORAGUNOVで凄いキル数を叩き出している人もいます。(でもAWPはあんまり見ないかなぁ^^;) スナも使用者との相性なのです。 よって武器現地調達をうまく利用してDORAGUNOVとAWPも試してみるといいかと思います。 使用されている順 PSG FR DORAGUNOV AWP
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/1133.html
武装神姫のリン オリジナル武装・技解説 このページでは本編に出てくるオリジナル武装(元ネタがあるものは割愛)と燐が戦闘時に使用するエアリエル技について説明するページです。 今更感があるかもしれませんが、参考までに。 もちろん妄想の産物なので細かい所は気にしないでいただけるとありがたいです。 武装 1,N-01およびN-02 コレは本編中で市販されたという設定の第1弾の強化パーツであり、アーンヴァルについては01、ストラーフには02が対応する。 01はアーンヴァルの機動力を殺さないレベルでの総合的な攻撃力アップを目指した。 その結果武器としてはレーザーライフルの半分ほどの長さ、重量でありつつも連射もある程度可能なレールガン。 その威力は直撃であればシールドや、頑強と評判のハウリンやマオチャオの装甲にもかなりのダメージを与えることが可能である。 レールガンとほぼ同じサイズのユニットを持つ大型ライトセイバー。これは刃が非常に大きいことからランスとして使用し、高々度からの急降下による一撃離脱戦法も十分に可能である。刃部分の重さはゼロなので意外と扱いやすいのも特徴である。 そして頭部センサー用の大型アンテナユニットが同梱で、これにより索敵能力、照準制度の上昇が望める(上昇の程度はその個体に左右されるためそれを発売までに数値化して発表するには至らなかった) 索敵、照準制度上昇を求めるだけであれば単純なゴーグル系パーツも販売されているが、あれを装備すると見た目が損なわれてしまうと考えるユーザーも少ないわけでは無かったため意外と評判は良いらしい。 N02はストラーフの重装備を支えつつもアーンヴァルやツガルと言った常時飛行の可能な神姫に対して広いステージで対抗するというコンセプトで開発された。 パーツの大部分を占めるのは背部ハードポイントに接続する飛行ユニットで、正に悪魔の翼を模したような大型のフレキシブルバインダーにその基部の小型ながら出力効率の良いバーニアで常時飛行とまでは行かなくとも、10秒~120秒の滞空および飛行が可能(バーニアの出力設定で時間は変動)になっている。 なお、こお装備は基本的に背部ユニットと合わせて使うことが推奨されているが素体状態の拡張マウントに直接接続することももちろん可能でありその際は重量も軽くなるため1,2~1,5倍に滞空時間が延びるというデータが取れている。 ストラーフの戦闘能力はかなり高い水準で安定しているので武装についてはリーチを伸ばすこととチーグルのマニピュレータで扱うことの出来る大型武装ということで鎌と薙刀の2パターンの形状を取ることが出来るポールウェポンが付属している。 ただ形状を変更すると刃の向きが180度変わるのだが開発当初考えられていた基部の回転軸が強度(戦闘ではチーグルのパワー力ずくでたたきつける様に扱うことが多くなるであろうと開発者は予想)確保の問題からオミットされたために変形後は一旦持ち替えなくてはいけないと言う少々面倒な点も存在する。 2,燐専用、対空ユニット「焔」 一方こちらは上記の「N-0Xシリーズ」の開発メンバーでもあった藤堂亮輔が所有する神姫-個体名「リン」-専用に藤堂亮輔が開発(パーツ代も彼の自己負担であり、パーツの組み立てはすべて彼自身が行ったらしい)した「リン」専用の機動戦用モジュールであり、スペックの全てが彼女のパーソナルデータに基づいて調整されている。 そのために当たり前ではあるが、彼女以外の神姫が装備してもまず100%の能力を引き出せないシロモノとなっている。 その構成はサブアームの基部の肩に当たる装甲版の代わりにN-0Xシリーズより大型で最大出力も高い(ただ、単純なエネルギーの変換効率で言えばN-0Xの方が上である)バーニアユニットとエンジンの一体型のユニットを装備し、また比較的大型のバインダーを装備することによって飛行する神姫にも容易に接近することが可能になっている。 ただし空を自由に飛ぶ訳ではなく距離を開けられて相手に射撃をさせない様に、そして最終的には自分の間合いまで飛び込むことのみを目的にしているため普段は地に足を付けて戦うことになる。 ただ、バーニアおよびエンジンの出力故にバーニアを瞬間的に噴かせて緊急回避などを行うことも十分に可能である。 ただ、N-0Xシリーズの様に滞空・飛行が可能なパーツは他にもあるにも関わらずこの様な「使用状況が特殊故に汎用性も無く、機体バランスを崩すピーキーなチェーン」の武装を彼及び「リン」が必要としたのかはまだ本編で語られていないが、そう遠くない時期にお見せすることが出来ると思う。 エアリエル技 1,「裂空(れっくう)」 リン-燐-がマスターの藤堂亮輔を侮辱されたことにより激高した結果行った行動であったが、それは相手の意表を完全に突き彼女の勝利を決定づけたモノである。 当時は技と言うよりは『火事場のクソ力』であったがその後の訓練により習得している。 基本的にはわざと相手に隙を見せることにより相手が攻撃準備に入るために足を止める瞬間を作りだし、そして強靱な脚部およびサブアームのばねを生かして瞬時に相手の背を取る技である。その後の攻撃行動は厳密には「裂空」と言う技ではないということは多分本人およびそのマスター達以外は知らないものと思われる。 2,「隼(はやぶさ)」 これが燐の技の内で最初に披露された攻撃技であり、最近は裂空から繋いでフィニッシュに用いられることが多い。 技としては空中で身体のバランスをわざと崩して回転しその遠心力を加えた後ろ回し蹴りを放つものである。 その軌道は予測できず、上からかかと落としの様に放つこともそのまま水平に繰り出すか…その軌道は食らう直前ならなければ分からない。 3,「裂空・雅(れっくう・みやび)」 裂空は基本的に『受け身』の技で、一方こちらは最初から『攻め』を考えられ考案された技である。 ただし、使用時に脚部、椀部にかかる負担が尋常ではないためにうかつには使用できない上、失敗すれば自分が負けると言う正に「必殺」の技。 動作としてはまず、基本装備であるグレネードランチャーを放り投げ、パイソン357マグナムで撃ち抜くことで爆発させる、その爆風に乗って(その際、もちろん己にも多少のダメージを負う)敵の至近距離まで瞬間的に接近。 そのまま相手が己の行動に驚き無防備であれば空中で回転して隼を。相手が反撃に出る場合は無理矢理にサブアームを地面に突き立てたり(これは公式戦で使用された唯一1回の場合)して軌道を変更し、そのまま片腕・片足のみで行うハンドスプリングやバク転で相手の背後を取ると言うものである。反撃に出る相手もほぼ確実に渾身の一撃を放ってくることから博打性の高い技であるのも確かであるため、よほどの正念場(特に相手と何かしらの因縁や関係がありどうしても勝たなくてはいけない場合)でない限り燐がこの技を使うことは無い。 その技としての特殊性故に練習を行うことはほぼ不可能(もちろんバーチャル空間でのシミュレーションは可能だが)であり、技としての完成度が低いのが現状である。 戻る
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/997.html
戦うことを忘れた武装神姫 その32 <<その31から。。。<< 久遠の前で、神姫サイズの椅子に腰掛けて向かい合うあずさとリゼ。 「・・・私の型番は型式無しの『Type-91』。 武装タイプとクラリネットタイプの合いの子、とでも言ったところでしょうか。」 「え、き、91型?!」 リゼの目が驚きで丸くなった。 「あら、ご存知でしたか。」 「ヌシさんから聞いた事があるんです。 はっ! もしかして・・・あずささんが、ヌシさんが話していた・・・」 「そういうこと。 今日、お前だけを連れてきたのも、あずささんに会わせるためだったんだよ。」 手元のチェイサー(水のこと)を含んだ久遠が口を挟んだ。 「すみませんね、あずささん。 ちょいとリゼの反応を見てみたかったというのもあって。 リゼも予想通りの反応で安心しましたよ。」 久遠の言葉にちょっぴりむくれるリゼ。 「そう怒るなって。 いま美味しいバーボン分けてやるから。」 「本当?」 ぱっと明るい表情になるリゼに、 「予想通り・・・ですか・・・。 リゼさんは本当に神姫らしい神姫ですよ。」 クスクスと楽しそうに笑うあずさ。 「あ。そうすると。」 ふと手を叩いたリゼはちょっと考えるしぐさを見せ、 「そうすると、あずささんはあたしの叔母さんにあたるんだよね? ヌシさん。」 と久遠に声をかけた。 ぴくり。 小さなピアスが付いたあずさの耳が動いた。 右の目じりがちょっと引きつっている。 それに気づいた久遠が止めるまもなく、リゼは言ってしまった。 「だって91型だと、あたしよりずっと歳増でしょ?」 カッ!!と、あずさの目が開かれた次の瞬間。 どばしゃっ 久遠の手元にあったチェイサーが、リゼにぶかっけられていた。 呆然として椅子に腰かけるヌレヌレのリゼ。 「失礼な! 起動したのは貴女よりもあとなんですよっ!!」 水音を聞きつけて慌てて戻ってきたマスターは一目でその状況を理解し、あずさの頭を小突いた。 「こら。 お客様になんてことをするんですか。 申し訳ありません、リゼさん。」 「あ、いえ。自分も悪いんです。 そのへんのことをしっかり伝えておかなかっ・・・」 言いかけた久遠をさえぎり、マスターはあずさを手に乗せて顔の前へと持ち上げた。 「あずさ。ここではどのように振舞うか、そして何故そうしなければいけないか。教えたはずですよ。」 シュンとなって黙って頷くあずさは、マスターの手のひらからカウンターの上に移ると深々と頭下げた。 「大変申し訳ありませんでした。ついカッとなってしまって。。。」 ヌレヌレになったリゼをやさしく拭くあずさ。リゼはどう反応してよいのか全く解らず、あずさに身を任せたまま久遠を見ていた。 「すみません、こいつもまだまだ修行が足りないもんで。」 久遠はちょいとリゼを突付く。意図を解したリゼも頭を下げた。 「このような形でのお詫びというのも何なのですけれど・・・ひとつはリゼさんに。」 と、マスターは奥から出したものとは別のボトルを傾け、グラスを二つ久遠の前へ差し出した。 一通り拭き終わったあずさは久遠にも頭を下げると、ひとまわり小さいグラスを手にリゼの前へ。 「どうぞ、リゼさん。」 半ば困惑の面持ちのリゼに、久遠は黙って小さく頷いた。 「いただきます・・・ !!!」 一口含んだだけで、リゼの表情が・・・緊張が解け、再びいつものリゼの顔に戻った。 「すごい・・・口当たりがいいのに、いつまでも響く感じ・・・きれいな味・・・。」 ホッと小さく息をつき、うっとりとした眼差しでグラスを見つめるリゼに、あずさもまたほっと胸をなでおろしていた。 続いて久遠もグラスを傾けた。 表情を伺うかのごとく、マスターが声をかけた。 「ハイランドの25年です。いかがですか?」 「ま、マスター、こんないいものを・・・」 「どうぞ御気になさらずに。」 「違うんです。これだけの味を覚えさせてしまうと、リゼの舌がどんどん贅沢になっちゃってウチが困るんです。」 眉間にしわを寄せて見つめる久遠に、あえて知らん顔のリゼ。二人の様子にマスターもあずさも、思わず笑みがこぼれていた。 それからどれだけの時間が過ぎたのだろうか。リゼとあずさの会話は終わる気配もなく、実に楽しそうに続いている。流れるジャスのリズムに合わせて指が動いているところをみると、おそらく歌談義なのだろう。。。 穏やかな面持ちでふたりを眺める久遠。 ふと、リズムの中に混じるカタカタという木の部品が作動する音に気づいた。 マスター、また新しい骨董品を・・・。半ば呆れるような面持ちで見上げるは、壁にかけられたからくり時計。 時報に合わせ、半円になった部分で小さな列車が走っていた。 リゼも気づいてあずさに訊いている。 聞き耳を立てる久遠、どやらねじ巻きはあずさの仕事・・・ぜんまい仕掛けか。 なんと贅沢な時を刻む道具なんだろう。 琥珀色の液体が入ったグラスに口をつけ、久遠はしみじみと噛みしめる。 ・・・リゼとこんなにも贅沢な時を過ごすのは、初めてかもしれない- 。 と、マスターがグラスを拭きながら思い出したかのように話しかけてきた。 「久遠さんは、神姫に年齢という概念はあると思いますか?」 声をかけられ、時計から視線をリゼたちに戻した久遠。 言われてみれば、今まで神姫たちの年齢なんて・・・ 「考えたこともないですね。」 「久遠さんのことですから、きっとそう答えると思いましたよ。」 マスターは安心したようにほっと息をつくと、グラスを置いてさらに続けた。 「あずさを起動させてから、私も神姫に対してずいぶんと考えが変わってね。 僕はね、神姫たちにヒトと同じような年齢という概念はないと思うんだ。」 マスターの言葉に、グラスを持ったまま考え込む久遠の袖をリゼが引っ張っていた。 「ヌシさんヌシさん、あずささんから歌を教わったんだ。」 向こうではあずさがマスターに一言二言、マスターは小さく頷いてCDを入れ替えた。 リゼは久遠にちょっと悪戯っ子の視線を投げると、リゼはあずさに目配せ。 CDの演奏が始まり- 、神姫のデュエットが静かな店内に響き渡る。 -Cradle of Time。 確か、そんな曲名だった気がする- 。歌声に魅了されながら久遠は思い出していた。 最後のソロ部分を、リゼが力いっぱいに歌い上げ- 。一礼をするあずさとリゼに、久遠もマスターも拍手を送る。 「・・・この歌の通り。それぞれが、それぞれの早さの『時』を刻んでいるんだろうな、とね。 だけどね。」 歌い上げたあずさを自らの肩に乗せたマスターは、 「そんな神姫たちと、君たち - いや僕たちの『時』が重なるような、そんな場所があってもいいだろ?」 と、あずさと合わせるかのごとく、久遠と彼の手元で甘えるリゼに微笑みかけた。 穏やかな時間(とき)の流れを紡ぐ神姫がいる。 ここに居るのは、戦うことを忘れた武装神姫。。。 >>帰り道。。。 (その32.5へ)>> <<トップ へ戻る<<
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/709.html
戦うことを忘れた武装神姫 その26 ・・・その25の続き・・・ 再び、久遠のグラスの氷がカランと鳴った。 「・・・すまないね、『ゼリス』のことを答えるはずが僕の昔話で終わってしまったようだ・・・。」 「いえ・・・それで十分です。」 すっかり氷も解け、なかば水割りになろうとしているグラスを久遠はすっと飲み干した。 ヒトと対等に意思疎通ができる、ちっちゃいけれど頼もしい存在。 「死」すらも、恐れることなく正面から向きあえる程の強い存在。 ヒトに愛され、ヒトを愛することができる、優しく、温かな存在。 - ヒトは何故、「心」を持つこの「存在」を造り出したのか - うつむいたまま、ドツボにはまったかの如く黙り込んでしまった久遠。と、彼の目の前に新しいグラスが差し出された。 「・・・。」 はっとした久遠、見ればグラスを差し出したのは・・・心配そうなまなざしで、じっと久遠を見つめるエルガだった。 「にゃーさんの考えてること、にゃーにも、少しだけど判るよ?」 「・・・そうか?」 「にゃーたちが『戦わなくていいの?』て聞いたとき、にゃーさん、『戦うだけがすべてじゃないんだよ』って言ってくれたの、覚えてるよ? だから、にゃーたちも時々、なんで神姫なのか考えるの。。。 でもね、答えは急ぐことじゃにゃいのだ。 一緒に考えてあげるから、にゃーさんもゆっくり、のんびり考えるの。」 エルガは普段の勢いとはまるで違う、実に穏やかな、落ち着いた声で久遠に語りかけた。 「だけど・・・だけどね? にゃーたちは、にゃーさんよりもずーっと早く壊れちゃうと思うの。だから、にゃーさんが答えを出したときに・・・」 大きなエルガの瞳に、うっすらと涙が浮かんだ。 「にゃーたちは居ないかもしれないよ? だけど、にゃーたちのこと、ずーっと忘れいよね? ね、にゃーさん・・・?」 エルガの頭に、何かがぽたりと落ちた。 「馬鹿っ。。。 無責任なこと言うなっ・・・!」 久遠の涙・・・。 「おまえらが『ここに居ること』が俺には大切なんだよ。。。 それに、一緒に、ゆっくり考えようって言ったな? 言った以上、一緒に答えを探す義務があるっ! 答えが見つかるその日まで、何が何でも俺のそばに・・・傍に・・・っ!」 「わかったのだ。。。にゃー、約束する。ずっと居るの!」 「よしっ、それでこそ俺の猫爪『エルガ』だ。。。」 久遠はグラスをそっと傾けてエルガに一口飲ませた。 「ありがとなの・・・。」 涙でぐしゃぐしゃのまま、グラスをはさんで静かに見詰め合う二人・・・。 その様子を静かに見ていたマスターは、久遠に、そしてエルガにももう一杯グラスを差し出した。 「僕の昔話が、君たちにとって少しでも役に立ってくれれば幸いだよ。今日は・・・僕のおごりにしよう。 好きなだけやってくれ。」 「にゃーん!! マスターさん、ありがとなの!」 「ちょ、エルガっ、すこしは遠慮しないか!それが大人のマナーだっつーの。」 「えー? にゃーは大人じゃないよー?」 「・・・ったく、お前ってヤツは・・・。」 と、グラスを片手にエルガの頭をぐりぐりする久遠の顔は、実に穏やかであった。。。 ・ ・ ・ 終バスの時間が近づき、帰ろうと久遠が支度を始めたときだった。 何かを思い出したように、マスターはCDを入れ替えた。 「君たちは、角子さんと呼ばれるクラリネットタイプの声を持つストラーフの噂を聞いたことはないかな。」 CDが再生される・・・ 「知り合いに無理を言って録音してきてもらったんだ。」 スピーカーから奏でられるは、生録の女性の歌声。 決して音質がよいとはいえない・・・が、久遠と、なによりエルガが反応を示した。 「マスターさんっ! こ、この声・・・っ!」 「何かを感じる・・・そうだろ?」 大きく頷くエルガ。 傍らの久遠も、その歌声に聞き入ってしまい、動く事を止めていた。 「マスター、もしかして・・・。」 久遠が何かを言おうとしたが、マスターは遮るように語った。 「あまり教えてくれるな、とは言われてはいるんだけれど。」 メモ用紙を取り出すと、住所を書き始めた。 「君たちなら、おそらく彼女たちも迎え入れてくれるだろう。場所を教えてあげるから、今度の休みにでも会いに行ってきなさい。 求めている答えのきっかけくらいはつかめるはずだから・・・。」 最後に『MOON』という、おそらく店の名であろう文字を記し、エルガをポケットに入れた久遠に手渡した。 「マスター、今日はありがとうございました。」 「ほんとうに、とってもありがとなの! おやすみなの、マスターさん!」 「僕のほうこそ、長々と昔話に付き合わせてしまって。お礼を言わせてもらうよ。ありがとう。・・・では、おやすみなさい。」 久遠とエルガが帰った店の中には、神姫の歌う『コーヒー・カンタータ』が流れていた。ひとり、カウンターに座りしばし聞き入るマスター。やがてCDの演奏が終わると、酒瓶の後ろに大事にしまっている小箱を取り 出し、カウンターに置いた。箱に記された文字- -type91- 量産試作型 - 「今ここにいることが大切、か・・・。 久遠さんもずいぶんと言うようになったもんだ・・・。」 呟きながら一度もあけたことが無い箱を開けた。 - 白いボディに、ストラーフの顔を持つ神姫 - ふっと小さく息をつくと、マスターは陰に置かれた古びた一枚の写真に語りかけた。 「そろそろ、僕も神姫のオーナーとなってもいいだろうか? ・・・なぁ、『ゼリス』-。」 最終バスの車内。なんとか間に合った久遠とエルガは、いちばん後ろの席で今日のマスターの話を思い返していた。と、窓の外を見ながら久遠が呟いた。 「明日の午前中に行くぞ。」 「にゃ? どこ?」 「なんつったっけ・・・そうそう、『MOON』だ。」 「みんなで行かないの?」 「リゼとイオは・・・どうする? あいつら連れて行ったら、何らかの騒ぎを起こしかねないから・・・。」 「うにゃはぁ、にゃーさん、言うのだー。 でも、みんなで行こうよー。でないと、行く意味がない気がするよ?」 「はは、そうだね。 これも何かの運命だろう。 この機を逃さず、一気に行ってしまおうか。 さっそく帰ったら連絡を入れて、と。 そうすると、まずは川崎製麺寄ってシンメイ拾って、東杜田いってイオとリゼ拾ってから『MOON』に向かおう。」 「さんせーい!」 「どうせアレで走るんだ、都合2時間もあれば着くっしょ。」 「りょーかいなのー!」 明日への期待に胸を膨らませた二人を乗せて、バスは静寂の夜の街を走る- 。 マスターと共に、今を楽しみ、明日へ向かう神姫がいる。 ここに居るのは、戦うことを忘れた武装神姫。。。 <その25 へ戻る< <<トップ へ戻る<<
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/670.html
戦うことを忘れた武装神姫 その24 最近、正式に「ムサコ神姫センター」との名称になった、M町のセンターの 3階にある大型筐体・CMU-381-M2。 いわゆる草リーグではあるが、中では2vs2の激しい戦闘が繰り広げられて いた。真夏のような草原フィールド、宙を飛び回るダブルツガルに対するは、 ストラーフと猫爪の組み合わせ・・・そう、かえでの神姫。。。 手が加えられ、より軽量となっている装備を活かし、速度で勝負を仕掛けて くるダブルツガル。 対するは、戦略のティナと経験のフィーナ・・・。 開始時は圧倒的な速度に押されていたかえでの2人だったが、やがてティナ が相手の弱点 -装甲の薄さ- に気づき、情報を受けたフィーナはアームの指 先を外して待機。ティナが囮になっている間に、フィーナは草原フィールド の起伏により死角になる位置へと移動した。 「-Tへ。セット完了。」 「-Pへ。-T、了解。あと7.5sで到達。」 「-P、了解。」 短いやりとりをすると、ティナは四脚にてフィーナの潜む窪地へと一直線に 駆け出した。 後を追うは、HEMLを両の手に構えたツガル2体。 脚力には定評のある猫爪ではあるが、空間を一直線に移動できるツガルの方 が、当然速く移動できる。 間合いが詰まる。 2体のツガルは、照準をティナの背中に合わせた・・・ その瞬間。 窪地から、ツガルたちの目前に10個の小さな黒い物体が放り出された。特殊 鋼材でできた、フィーナが自らのアームから取り外したアームの指だ・・・。 速度を求めるがあまり、装甲を減らし過ぎたツガル2体は、自慢の速度が仇 となり、突如出現した固い物体を避けることが出来ず、全身に思い切りブチ 当ててしまった。 「衝撃は速度の二乗に比例しますから、それに見合った性能の対衝撃装甲を するべきにゃのです。」 見事撃墜され、目前に落ちてきたツガルの2人に、静かに語りかけるティナ。 「チームワークも、速さも照準も申し分がありません。ですが、装備に関し ては、今一度考えた方が良いでしょう。」 フィーナはちらばる指を拾い集め、元の通りにアームへ組み付ける。 「それだけの能力、装備で殺してしまうなんて・・・」 「もったいにゃいですよ?」 2人の余裕の様子に、白旗を揚げるツガルコンビ。 「勝者、ティナ・フィーナチーム!!」 ジャッジマシンが勝利を告げた。 土曜の午後、けっこうな人の入りの中、 わき上がる拍手。ダブルツガルのオーナーと握手を交わし、互いの神姫たち の健闘をたたえるかえで。 2人の周りには、顔見知りとなった仲間たちが 集い、話に花を咲かせる・・・。 ・・・今やすっかり川崎家の一員としての生活にも慣れたフィーナ。 普段は、かえでのちっちゃいお目付メイドとして、ティナと共に、いわゆる うっかりさんのかえでを冷や汗混じりでフォローする毎日。 だが週末には、 自らの存在を確認する意味でも、一戦は必ずこなしているとか。 一方のティナはといえば、フィーナに稽古を付けてもらい、また自ら研究を 重ねたことで、猫爪にしては大変に珍しい「頭脳格闘派」として名を馳せて いた。 とはえい、基本は猫爪、ネコネコしい事に変わりはないのだが。 一時期、引きこもりがちになったかえでに、そっと父親が渡したもの、それ が猫爪型武装神姫。。。 所詮は大人向けのおもちゃ、そんな気持ちで起動させた。 静かに起動する ちっちゃい仔猫。 好きだった絵本の主人公の名をとり、ティナと名付け、 傍らにポンと置いた、それだけの存在だったはずなのに。 戦う格好をした 人形、ただそれだけだったはずなのに。 いつの間にか、自分の生活に溶け込んで、 いつの間にか、当たり前の存在になり、 いつの間にか、無くてはならない存在になっていた。 この子がいるから、頑張ってみようと思う。 この子が応援するから、あと 一歩を踏み出そうと思う・・・ 気が付けば、だれとでも話せるように なった自分が- 。 そんなときに起きたあの事件。 かえで自身にとっても、大きな転機となった。 ちっちゃいけど、精一杯がんばる神姫の姿。 それは、ヒトが作りし、ちっちゃい心。。。 「かえでちゃん、どうしたの?」 「あ、ごめ〜ん。ちょっと考え事していて。」 神姫仲間の一人に声をかけられて、はっと我に返るかえで。 フィーナに 引っ張られるように始めた神姫バトル。 今では、ここに週一回来ることが 楽しみでならない・・・。 ここに来れば、同じ志を語り合える「仲間」が 待っているから- 。 「そうだ、かえでちゃん、推薦で大学決まったんでしょ?」 恥ずかしそうに、かえでは顔を赤らめる。 「えー? 何で知っているの?」 「この前フィーナちゃんが言ってたじゃない。 えーっと・・・」 「T工大。Dr.CTaさんみたいになれればいいな、って思って。」 私に道を開いてくれた、ちっちゃい存在。 自分にだって、造り出せるはず- 。 「へぇ、それはすごいねぇ。」 いつの間にか話に加わっていたムサコの店長が口を挟んだ。 「て、店長さんまで・・・。」 「お祝いってわけじゃないけど、これをあげよう。・・・使うかな?」 と、手渡された小袋。開けるとそこには神姫サイズのメイド服。ブランドは TODA-Design、しかも Battle Use ONLY とデカデカと書かれている。 「いいんですか? 頂いちゃって・・・」 「どうぞー。 先週だったっけ、君たちと話をした、CTaさんじゃないコス プレのねーちゃんがいたろ、ハウリン連れた。あの人が戸田さん本人だった んだよ。 で、戦うメイドって言葉が似合うから- 、って作ったんだとさ。」 「はぁ・・・嬉しいのですが、ティナはともかく、フィーナがどう言うか。」 「私がどうかしましたか?」 ツガルたちとの話が一段落したのか、ひょっと顔を出すフィーナ。 「こういうの、着る?」 かえでが広げた服に、一瞬目を丸くするフィーナ。 「イヤです、といっても、マスターもしくはティナに無理矢理着せられるの がオチでしょう。。。」 「・・・イヤなの?」 が、フィーナはすぐにいつもの笑顔に戻った。 「ふふ、ウ・ソ・です。 こういうの、私好きなんですよ。」 まだツガルたちと話をしていたティナを呼び、2人で袋にはいるとごそごそ と着替えを済ませ、出てきたときには・・・ マシンガンが似合いそうな姿 のメイド神姫になっていた。と、横から仲間の一人が言った。 「やっぱ、二つ名は『戦うメイドさんズ』でいいんじゃないですか?」 ふたたびわき上がる拍手。 対戦相手のマスターも、ダブルツガルも拍手を している。その暖かな輪の中で、嬉しそうにクルクル舞うティナとフィーナ。 「どうです? マスター。 似合いますか?」 「かえでちゃん、見てみて! ここに隠し武器があるの!」 その姿に、かえでは心の底からうれしさがこみ上げてきていた。 気が付けば、いつも仲間がいる。 もう、寂しくなんかない。 だから、決めたんだ。 いつの日か、仲間をつないでくれた、 小さな存在を、自分が神姫を作るんだ、と-。 <その23 へ戻る< >その25 へ進む> <<トップ へ戻る<<
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/478.html
戦うことを忘れた武装神姫 その12 ・・・その11の続き・・・ 「在庫じゃないんだからああぁあぁぁ!!!」 ひときわ大きく絶叫すると、イオはLC3とツガル装備のHEMLを取り出した。 さらには妙なコードを取り出すと、背中の翼に載る推進器と、LC3・HEMLを接続。右手にはLC3、左手にはHEML・・・それぞれを片手で軽々と扱うその姿は、もはや武装神姫ではなく、武装鬼神・・・!!! 「な、ななな・・・そんなこけおどしが通用すると思っているのか!」 大型の射出型パイルバンカーを取り出し、すぐさま一発打ち出すディサ。だが、撃ち出されたされたパイルは、イオまで到達することはなく「消滅」した。 先端が真っ赤になっているLC3・・・そう、推進器のエネルギーの大半を、両手に持つ得物へそそぎ込み、機材の限界をはるかに越える弾を撃ちだしているのだ。そして、エネルギーの強さのみならず、速射の能力も-。 「オラオラオラ!!! ちょこまか逃げるんじゃねぇ!!!」 左右の得物が、あり得ないレベルの弾を射出し続ける。ディサは、反撃する隙すらも与えられず、当たったら即・分解されかねない弾の雨の中を必死に逃げるのみ。時折かすめる弾により、自慢の特別装飾が施された鎧が徐々に変形し、溶けていく。 フィールド上は地獄絵図だった。厳かな雰囲気を醸し出していた柱や台座は粉々に粉砕され、ダミ−とはいえきらびやかな財宝の入っていた宝箱はあとたかもなく消滅。 「どこだ、どこへ逃げた!! 出てこい!!!」 粉塵でフィールドが煙る中でも、イオは乱射を止めようとしない。 『やむを得ん・・・ディサ、アーマー解除! 軽装モードにて待避せよ!』 サイトウが叫ぶ。ディサは鎧を捨て、粉塵に紛れイオの背後になるような立ち位置を探る。やがて、イオのLC3が限界を超え、アラートがなると同時に銃口が溶解。続いてHEMLも銃身が真っ赤になり、射出不能となった。 「ちっ・・・軟弱な機材だぜっ!! ・・・ん?やつはどこへ行った?」 蹴り飛ばすように両の手の得物を捨て、ディサを探す。・・・すでにその時、ディサはイオの真後ろに飛び上がれる位置へと移動していたのだ。 『今だ、行けっ!!!』 タイミングを伺っていたサイトウに命令を受けたディサは、飛び上がり掘り出したパイルバンカーを構え、イオの真後ろに狙いを定めた。 (取った!!!) そうディサが思った瞬間だった。 「ふん、後ろか・・・」 イオは呟くと、翼の角度を調整し、推進器の噴射口がディサへ向くように、瞬時に調整。あれだけ乱射をしながらも、各種センサー類はしっかりと機能させていた。 「Good-Bye,Baby-Girl.」 迫るディサを横目でちらりと見ると、悪魔のような笑みを浮かべて推進器をフルパワーに。 「ぁ・・・うわあぁぁあああああ!!!」 推進器からの猛烈な熱風の直撃を受けるディサ。重量のあるパイルバンカーを抱えて飛び上がっていたこともあり、バランスを崩して背中から落下。 「がはっ!」 鎧を着けていなかったこともあろうか、しばらく動くことすら出来なかった。 ディサがようやく体を起こすと、イオが静かに目前に降り立った。 「まだだ、まだだぁっ!」 ディサはまだ地に足を着けていないイオめがけ、自慢の俊足を活かし、大柄な太刀を振り上げ斬りかかった。かえでの猫子・ティナの腕を斬り落とした、あの太刀だ。。。 フィールドの脇では、その光景にギャラリーモニターを見ていたかえでが思わず叫んでいた。 「イオ、逃げてー!!!」 あの日の記憶がよみがえったのか、ティナは顔を伏せ、かえでの服をぎゅっと掴んでいる・・・ キィン! 金属と、別の物質が当たる音が、フィールドの外までも聞こえてきた。 「何ぃっ?!」 「・・・甘ぇんだよ・・・。」 太刀は、イオに届いていなかった。イオが手にしていたのは、なんと酒瓶! 銘柄は地元の酒造メーカー「澤野伊」生一本。イオの大好きな逸品である。 イオはその酒瓶を軽々と振り回し、太刀VS酒瓶という、異色のチャンバラを演じる。やがてダメージがボディーブローのように効果を示し、さらにイオの気迫に圧倒されたディサは徐々に押され気味となり、 ・・・ざくっ 太刀がはじき飛ばされ、天井に突き刺さった。 得物をすべて失い、にじり寄るイオに対し何も出来ない・・・ 腰の力が抜け、へたり込むディサ。 「てめぇがあたしに『在庫』っていう筋合いは無いんだよ! あぁん?」 手にした酒を含みながら、ティナの目前に立つイオ。 「わかったか・・・ わかったら返事しろっ!!!」 「は、はいぃっ!!! 申し訳ありませんでしたっ!!!」 頭を地面にゴリゴリこすりつけて土下座をする。 「おぅ、そういやお前・・・ ティナって猫子の事、覚えているな?」 恐怖に歪んだ顔を持ち上げ、イオを見上げつつ首を縦に振るディサ。 「あいつがどれほどの恐怖を味わったか・・・てめぇにはわかるか?」 酒瓶に口を付け、ぐっと一口含んで栓をすると、左手で瓶をポンポンと叩く。 「まぁ、分からなくてもいい。 今ここで分からせるだけだからなっ!!」 と、手にした酒瓶を振り上げるイオ。ディサの目に、今まで一度も浮かべたことの無かった涙がわき上がった。 ・・・ディサに、戦意はかけらも無くなっていた。 もう、これ以上はなんになるの? なんでそこまでするの? お願い・・・ 助けてっ!! 頭が砕かれるっ!!! ・・・が、いつまでも衝撃は来なかった。 「・・・少しは分かったか、やられる側の気持ちが。」 酒瓶は、ディサの頭上スレスレで止まっていた。 「あ・・・・・・ わ、分かりましたああぁっ!!!」 「よーし、それでいい。」 再び、地面にゴリゴリと頭をこすりつけて土下座のディサ。イオはその様子をジャッジマシンにアピールする。 「ディサ、戦意喪失により戦闘続行不能。勝者、アーンヴァル・イオ!!!」 判定が下され、試合終了。 わぁっ! とギャラリーが盛り上がる。 その声に、ふっと我に帰ったイオ。瓦礫の中でキョロキョロと廻りを見渡すと、 「あら・・・やだ、私ってば・・・またやっちゃったの・・・? えっ・・・皆さん見ていました? いやー! 恥ずかしい。。。」 いつもの調子でクネクネ恥ずかしがる。 そのあまりのギャップに、モニターをみていたギャラリーも一斉に固まってしまう。 もちろんかえでとティナも、目を丸くして茫然と見る事しかできなかった。。。 「まるで普段は優等生ぶってる『レディース』の頭のだな、おい・・・。」 その姿に、久遠はちょっと恐怖心を抱いていた。それは、神姫たちも同様であった。ぼそり呟くリゼ。 「なぁ・・・イオには・・・逆らわないようにしような・・・。」 エルガとシンメイも、その一言に強く首を縦に振るのであった。 ・・・>続くっ!>・・・ <その11 へ戻る< >その13 へ進む> <<トップ へ戻る<<